上野の森美術館で開催中の「KING&QUEEN展ー名画で読み解く英国王室物語ー」で展示されている歴代国王たち。展覧会に絡めて英国王室のキングとクイーンのちょっとした雑学や関連映画なども含めて書きます。
KING&QUEEN展の前半のテューダー朝の歴史はこちらに書いています。https://kimama-tabi.com/kingqueen/
意味が分からない中でとにかく暗記しようとすると苦痛ですが、その背景を理解すれば、「なるほど!」となるので、頑張って暗記しなくても頭に入ってきます。
違う国のしかも昔の時代の話は、現代の感覚で意味がわからないのは当たり前です。例えば、「ハリー・ポッター」を見たら、自然と魔法学校の出来事が頭に入るように、歴史もそんな感覚で、「そういう世界の話」と思って、その時代背景、その時代の常識がわかれば意外と楽しめるものだと思います。
前置きが長くなりましたが、「KING&QUEEN展」の肖像画の中から、「使える雑学」をピックアップして書いていきます。
目次
キャサリン・オブ・ブラガンザ イギリスの紅茶文化の始まり
チャールズ1世が革命で処刑をされた後に共和制になりましたが、やはり王政がよかったと「王政復古」でチャールズ1世の息子のチャールズ2世が即位しました。その時の妃が「キャサリン・オブ・ブラガンザ」です。
イギリスといえば「紅茶」のイメージですが、その紅茶をイギリスに広めたのがキャサリンです。
あまり有名ではない王妃ですが、ポルトガルの王女で、イギリスに輿入れの時に、高価なお茶、砂糖、スパイス、中国の茶道具を持ち込み、ポルトガルからインドのボンベイ(現ムンバイ)や北アフリカのタンジール、西インド諸島の貿易権も与えました。
この時代は、オランダ、ポルトガルが海洋貿易の中心で、日本に来たフランシスコ・ザビエルもポルトガル人です。日本もオランダとポルトガルと貿易をし、江戸時代にはポルトガルは排除されました。
この時代はイギリスには紅茶が普及しておらず、キャサリン妃が中国や日本から輸入をした磁器を飾り、茶会を催しティーマナーを広めました。また、この時に譲渡されたアジアの拠点が、イギリスがインド貿易の拠点となり、イギリス東インド会社が発展したのでした。
ちなみに、夫のチャールズ1世はたくさん愛人がいたそうで、「KING&QUEEN展」では、愛人のエレオノール・ネル・グゥインと並んで展示されていて、ちょっと残酷です。
アン女王 ブランデーおばちゃん、太りすぎで棺は正方形
名誉革命で即位をしたメアリ2世の次に王位を継いだ妹のアン。
お酒好きで「ブランデー・ナン」と呼ばれたほど、晩年は痛風で歩くこともできなかったと言われています。
太りすぎで棺桶は正方形だったとか。
アン女王がブランデーに溺れたりや過食になったのは、子供を17人流産などで失ったためと言われています。17人も妊娠できることに驚いてしまいました。
映画「女王陛下のお気に入り」でも痛風で痛がっていたり、車椅子に乗っていました。衣装も肖像画に似ていて、個人的には内容は好きではないですが、衣装とロケ地のハットフィールドハウスが素敵です。
美食の女王は、洋ナシをモチーフにした純銀のポットを作らせ、こちらは「クイーン・アン・スタイル」と呼ばれています。
また、映画の中でも紅茶を飲んでいるシーンがありますが、この時代は、まだティーカップではなく、持ち手のない「ティーボウル」で、この時代はまだ西洋では磁器が作れなかったため、東洋から輸入したものを使っていました。
イギリスの「フォートナム&メイソン」のアン女王と関係があります。フォートナム&メイソンを作ったウィリアム・フォートナムは、アン女王の日用品の管理をしていた人で、毎日新品に取り換えられるために捨てられてしまう使いかけのキャンドルを売り、その資金で「フォートナム&メイソン」を立ち上げました。フォートナム&メイソンには「クイーンアン」というブレンドティーも販売されています。
ロンドンのフォートナム&メイソンについてはこちらに書いています。https://kimama-tabi.com/fortnumandomason/
展覧会の肖像画は痩せていた時のものなのか、美化したものなのか、細く美し女王様です。
ヴィクトリア女王 純白のウェディングドレスの始まり
王室の結婚は政略結婚のため、夫婦仲は悪く、結婚後に愛人がいるのが普通でしたが、ヴィクトリア女王は恋愛結婚でした。結婚式の時に、白いサテンのドレスを着たことで、白いウェディングドレスが広まったと言われています。
また、夫婦仲も良く(愛人がいない!)、9人の子供にも恵まれ、家族を大切にする女王一家は国民にしjされました。夫のアルバート公はドイツ人で、クリスマスにはドイツからツリーを取り寄せて一家でクリスマスを祝ったこと写真や肖像画が出回ったことで、ドイツの習慣だったクリスマスツリーをイギリスに広がりました。
夫のアルバート公は世界初の万国博覧会をロンドンで開き大成功を収めました。その時の収益で、「ヴィクトリア&アルバートミュージアム」を作り、に展示されています。
ヴィクトリア&アルバートミュージアムについてはこちらに書いています。
このころから入場料は無料で、労働者階級にも入れるように設定したそうです。
しかし、夫のアルバート公は42歳で亡くなり、女王は悲嘆にくれ引きこもりになり、公の場には出ず、喪服で過ごします。展覧会の肖像画は喪服を着ているヴィクトリア女王です。
晩年のヴィクトリア女王の映画が「ヴィクトリア女王 最期の秘密」です。
英国菓子を代表するヴィクトリアン・サンドイッチは女王の愛したお菓子だそうです。
ジョージ6世 「英国王のスピーチ」と兄のスキャンダル
映画「英国王のスピーチ」のモデルのジョージ6世は、現在のイギリスの女王エリザベス2世のお父さんです。
お兄さんが「王冠をかけた恋」で離婚歴のあるシンプソン夫人との恋を選び、10か月で王位を降りたことで、国王になったことがわかりやすく、また、子供時代のエリザベス女王姉妹も可愛いです。
展覧会は、現在の英国王室の肖像画と写真で、故ダイアナ元妃は、今までの王室の肖像画とは違い、ファッションモデルのようでした。
エリザベス女王は、現在、在位68年と世界記録更新中です。
エリザベス女王が若いころにお忍びでロンドンの町に繰り出した話が、映画「ロイヤル・ナイト」です。
KING&QUEEN展の楽しみ方
KING&QUEEN展は、ヘンリー7世から始まり、エリザベス2世までの英国王室の肖像画が展示されています。
英国王室は、ゴシップも含めて日本のテレビでもよく放送されるので、なんとなく親しみのある存在で、歴史上の人物から現代の知っている人につながっていくとわかると、なかなか面白いなと思いました。
ちょっと雑学を知ると、肖像画を見た時に「この人か!」と思う楽しみもあり、また、名前だけで覚えるよりも肖像画を見て顔がわかると覚えやすくもあり、イギリスに実際に行った時にも「こういう歴史があるのだな」とわかると、より楽しめると思うのです。
英国王室の歴史は、公式参考図書の「名画で読み解く イギリス王家12の物語」が解りやすくて面白いです。
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