KING&QUEEN展、誰でもわかる英国王室の歴史

エリザベス1世 東京
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上野の森美術館で開催中の「KING&QUEEN展ー名画で読み解く英国王室物語ー」に行きました。ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵の肖像画の中で「英国王室」を歴史順に展示してある面白い企画展https://www.kingandqueen.jp/でした。

「英国王室」や「英国の歴史」に興味がない、そもそも「歴史は嫌い」という方もたくさんいると思います。でも、たくさんの映画、ドラマ、ミュージカルの題材にもなるほどドラマチックな時代なので、テューダー朝の時代を映画の紹介もしながら、わかりやすく解説してみます。

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ヘンリー8世、離婚して愛人と結婚したいために宗教を変えて、妻を次々処刑

肖像画はテューダー朝から始まります。

ポスターにもなっているこの人は、一言で言うと「離婚をしたいために国教を変え、再婚するために次々に妻を処刑」というとんでもないオヤジ、ヘンリー8世です。

ヘンリー8世
この人が妻を次々に処刑したヘンリー8世

イングランド国教会を作った人ですが、理由は「妻と離婚をして、他の人と結婚したかったから」。カトリックでは離婚が認められていなかったので、そのために新しい宗派を作ったのです。

当時は、カトリックのローマ教皇がヨーロッパを支配しており、国王でさえもローマ教皇のお許しを得なければなりませんでした。しかし、お伺いをたてましたが、許されなかったため独自の宗教を作ったのでした。

西洋史がよくわからないことの一つに、「キリスト教がよくわからん」ということがあると思います。仏教にも色々な宗派があるように、キリスト教にも宗派があり、対立していて、宗教がらみの戦いはずっと続いています。

最近では、アメリカ大統領選で、トランプ氏がプロテスタント、バイデン氏がカトリックと「ここでも!」と思いましたが、「カトリックとプロテスタントは戦っているのだな」というのがポイントです。

イングランド国教会は現代にも続いていて、現在は、女王のエリザベス2世が最高権威者です。

さて、ヘンリー8世が離婚をしたかった理由は、アン・ブーリンと結婚をしたかったからでした。アン・ブーリンが「愛人でもいい」と言っていたら、イングランド国教会は生まれず、エリザベス1世が女王になることもなく、世界史も変わっていたかもしれません。アンは「結婚してくれないと嫌だ」と言ったため、歴史が動いたのです。

ヘンリー7世は世継ぎになる男の子が欲しかったのですが、育った子供は女の子(メアリー1世)のみでした。男の子が生まれないと、次々に妻を処刑し、再婚をし、妻は6人いました。

ちなみに、日本は、権力者には「正妻」の他に「側室」がいる一夫多妻制でした。身分が低い側室でも男の子を生めば権力を握れるため、女の戦いは恐ろしかったことでしょう。(徳川吉綱の母の桂昌院(お玉の方)は八百屋の生まれで、そこから将軍の母に出世し、桂昌院の名前が「お玉」で、これが「玉の輿」の由来になっています。)

ヘンリー8世は、苦労してアン・ブーリンと再婚をしましたが、アンが生んだのは女の子(エリザベス1世)でした。そのため、あんなに執着して結婚したアン・ブーリンを姦通罪をでっちあげて、ロンドン塔で処刑しました。

今でもロンドン塔にアン・ブーリンの亡霊が出ると言われていますので、アン・ブーリンに会いたい方は、ロンドン塔へ!(笑)

ロンドン塔
ロンドン塔

その後、ヘンリー8世は、次々に再婚をしては妻を処刑し、念願の男の子の3番目の妻の子エドワード6世はすぐに亡くなり、最初の妻の子供のメアリ1世が王位を継ぎます。

世界史の肝!これがわかれば世界史がわかる、カトリックとプロテスタント

中世ヨーロッパでは「教会」が力を持っていました。しかし、権力を持つと腐敗してくのは人間の性、それに異を唱えたのが「マルティン・ルター」から始まる宗教改革で、教会がカトリックで、教会に対して異を唱えたのがプロテスタントです。

メアリー1世 処刑しすぎて「ブラッディー・メアリー」と呼ばれる

メアリー1世は、父のヘンリー8世にはアン・ブーリンと再婚するために母を追い出され、母は幽閉され病死し(処刑はされなかった)、自分も不遇の時代を過ごしました。彼女にとっては「アン・ブーリン」とその娘の「エリザベス」は最も憎い相手で、王位を継いでから、エリザベスを反逆罪でロンドン塔に閉じ込めました。

また、メアリー1世は熱心なカトリックの信者だったので、父が作ったイングランド国教会を解散させ、プロテスタントを弾圧し、次々と処刑しました。そのため「血まみれのメアリ」というあだ名がつきました。英語で「ブラッディー・メアリ」、どこかで聞いたことがあると思ったら、トマトジュースとウォッカのカクテルになっています。トマトジュースが血の色だそうです。

そんな由来とは、恐ろしくて飲めません(笑)。そして、また出てきたロンドン塔、ロンドン塔には恨みを残して亡くなった人たちの亡霊がたくさんいるそうです。

ロンドン塔
ロンドン塔には亡霊がたくさんいるらしい

メアリー1世とエリザベス1世の攻防戦は、「レディ・ベス」というミュージカルになっています。

帝国劇場 ミュージカル『レディ・ベス』
ミュージカル界最強のクリエイター陣&キャストによる歴史ロマンが、待望の再演決定!『レディ・ベス』2017年10月8日~11月18日 帝国劇場にて上演決定!

イギリスの歴史の解説があるので、これを見て歴史を理解してもいいですし、歴史がわかっていたらミュージカルに集中できるかもしれません。私は、歴史を追いかけるので精一杯で音楽を楽しむ余裕がありませんでしたが、この時代のことがよくわかったので、おすすめです。

エリザベス1世 イギリスと結婚した女王、大英帝国の礎を築く

ついにイギリス史のスター、エリザベス1世の登場です。

エリザベス1世
エリザベス1世

メアリー1世はスペインのフェリペ2世と結婚しましたが、子供はできず、憎きエリザベスを後継者に決めて病死しました。

エリザベスを題材にした映画、ドラマ、ミュージカルは色々あり、イギリスの歴史のスターの一人です。映画を見た時には、「変なメイク」と思っていたのですが、肖像画がそうでした。

「エリザベス」といえば、ケイト・ブランシェットの映画はアカデミー賞でメイクアップ賞を受賞しています。

エリザベス1世は、当時ヨーロッパ最強のスペインの無敵艦隊を撃退し、ヨーロッパの列強の仲間入りをし、大英帝国の礎を築きました。

このエリザベス1世の肖像画は、他の肖像画に比べてインパクトが強く、たくさんの真珠のネックレスに白塗りの顔に鬘、地球儀に手を置き「世界は我が物」とし、背景は、王冠があり窓の外にはにスペインとの戦いと海に沈む敵軍、これだけを見ても「なんだかよくわからないけどすごい女王だ!」と思ってしまいます。エリザベスのイメージ戦略はすごいです!

メアリー1世は、「血まみれのメアリ」と呼ばれるぐらい宗教の弾圧をし、プロテスタントを300人以上火あぶりにしましたが、エリザベス1世は、イギリス国教会を復活させ、宗教の弾圧をしなかったことも政治がうまくいった理由の一つかもしれません。

メアリ・ステュアート、スコットランド女王はエリザベスの目の上のたん瘤

また「メアリ」が出てきますが、このメアリは、エリザベスの異母姉妹のブラッディーメアリーのメアリー1世とは別の人です。同じ名前がたくさん出てくるのが「世界史はわけがわからん!」となる原因でもありますが、違う人だとわかれば大丈夫です。

メアリ・ステュアートはヘンリー7世の子孫でスコットランド女王です。エリザベスはイングランドの女王で、イングランドとスコットランドは別の国でした。

フランスへ嫁ぎ、王妃になりましたが、夫のフランソワ2世が亡くなりスコットランドへ戻ってきます。フランス宮廷仕込みの美しい美貌と個性的なエリザベスも対比として描かれている映画が「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」です。

メアリ・ステュアートの肖像画も美しい女性として描かれていますので比べてみてください。

映画の中でエリザベス1世が歩いている荘厳な廊下は、グロースター大聖堂です。

グロースター大聖堂
グロースター大聖堂

さらに、メアリ女王は、カトリックでもあり、カトリックとプロテスタントのイングランド国教会は敵同士でもありました。メアリがエリザベス暗殺計画をたてたのが見つかり、最期は、エリザベス1世に処刑されました。

しかし、エリザベス1世には子供がおらず、エリザベス1世の遺言で、処刑をしたメアリ女王の息子のジェイムズ1世が王位を継ぎます。

グロースター大聖堂については、こちらに書いています。

【グロースター大聖堂】ハリー・ポッターのロケ地、ホグワーツの廊下の昼と夜
イギリスのグロースターにある「グロースター大聖堂」は、「ハリー・ポッター」や「二人の女王 メアリーとエリザベス」のロケ地もなっている美しい建造物です。見どころや行き方などをレポートします。

歴史がわかると世界が広がる

KING&QUEEN展のテューダー朝だけでも、たくさんドラマや映画になっていて、イギリス王朝のスターが勢ぞろいの時代です。

歴史がよくわからないと思うのは、「なぜ、それ起こったのか」という背景がわからないからで、背景がわかると「それでそんな事件が起こったのか!なるほど!」と理解できます。

これは、歴史の勉強だけではなく、社会問題や自分の人生に起こる問題でも「なぜそうなったか」を考えると解決策が出てくるのでおすすめです。

また、知らない時代の話は、「ハリー・ポッター」を見るように、映画やマンガなどで「そういう世界の話」としてみると、理解しやすいと思うので、その時代の建物や衣装なども視覚から入ってくる映画はおすすめです!

歴史を知ると、旅行に行っても、その観光地の歴史を知ることで、知らないより楽しめることがたくさんあります。

ロンドン塔も「おとぎ話の世界みたいな古い塔」とみるよりも、おどろおどろしい歴史があると知ったのでは、違うものに見えませんか?

ロンドン塔
ロンドン塔

ロンドン塔にはたくさんの亡霊がいると聞き、「絶対に近寄らないようにしよう」と思っていたはずが(笑)、タワーブリッジを見るときに近寄ってしまいました。

ロンドン塔
ロンドン塔

ロンドン塔の前は、冬はスケートリンクになり、綺麗ですよ!

しばらくイギリスには行けそうもないですが、次にどこに行こうか、イギリス関連の展覧会などを楽しみながら待ちたいと思います。

KING&QUEEN展のおすすめ

展覧会では、その王朝毎に家系図があり、サイトでも見れるのでこれを見ながら進むとわかりやすいです。そして、中野京子さんのちょっと毒のある解説が面白いので、これを読みながら進むのがおすすめです!

展覧会はの公式参考図書の「名画で読み解く イギリス王家12の物語」を読んでから行くのも、見てから読むんでも理解が深りますよ。

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